監督・脚本:エレーヌ・ド・クレシー(ヴィラ九条山レジデント:2009年7~12月)
Supported by Yukiko KAKIMOTO
エレーヌ・ド・クレシーを囲んで
「照明」は自らの意に反して堕胎手術を施される。愛の果実である子供が日の目を見ないことに憤った彼女は、その苦痛によって狂ったようになる。錯乱のさなか、彼女は人類全体を呪う。その結果、彼女自身を含めた人類の半数が、直ちにこの世を去らねばならないことになる。死産した子供の父親たる「生存」は、生者の側に属する。死後、「照明」は幽霊の姿となって「生存」の前に立ち現れる……映画監督エレーヌ・ド・クレシーは、2009年7月~12月の6ヶ月間のヴィラ九条山滞在時に、映画作品「GENESIS生成」を執筆し、制作しました。西洋文化の中に、人間の肉体や霊に対する日本での考えを取り入れたこの作品は、
喪に服す時間を映すことで、それぞれの生から死までにスポットを当てています。残されたもののつらさ、そして、もうそこにはいない人、生者と死者の間に永遠にかけられた橋があるのです。「GENESIS生成」は愛の賛歌です。
哲学を学んだ後、エレーヌ・ド・クレシーはシナリオの執筆と映画制作を始めました。ドキュメンタリー作品『Désirs d’Amour/愛の希求』を監督し、身体障害と性生活をテーマとした作品を発表。2003年/2004年にはドキュメンタリー作品『Secrets d’hommes, la vie ou la prostate/男たちの秘密:命か前立腺か』、2005年には長編ドキュメンタリー作品『La Consultation/診察』を脚本執筆・監督。2006年には長編フィクション映画
『Mater Erotica』のシナリオを執筆しています。ヴィラ九条山では、トーマス・マンの小説『魔の山』の自由な翻案として、舞台を大正時代の日本に移し替えたシナリオを書き進めています。今年制作した長編作品『Escort』は、来年公開予定です。